ガイド

全身ストレッチルーティン:頭からつま先までの12種目

首、肩、背骨、股関節、脚をほぐす12種目の全身ストレッチルーティンです。分かりやすい手順、キープ時間、10分と20分のコースを用意しています。

効果的な全身ストレッチルーティンは、首や肩から背骨、股関節、脚へと10〜20分かけて進めていきます。それぞれの静的ストレッチを30〜60秒キープし、ゆっくり呼吸しながら、痛みではなく心地よい伸びを感じる強さを保ちましょう。週に2〜3日続けることで、主要な筋肉の柔軟性をしっかりキープできますよ。

体のこりは、たいてい1か所だけにとどまりません。デスクワークで肩が内側に入り、座りっぱなしで股関節が縮み、1日歩き回ってふくらはぎがパンパンになりますよね。全身のストレッチルーティンなら、1回ですべての部位をカバーできるので、伸ばし忘れがありません。

このガイドでは、首から股関節まで順番に行う12種類のストレッチを紹介します。それぞれの手順、キープ時間、ありがちな間違い、そしてやさしいやり方と負荷を高める方法をまとめました。最後には10分版と20分版のメニューも用意しています。

Cat Cow
Cat cow wakes up the whole spine and makes a good start to a full body routine

ストレッチはどれくらい行えばいい?

米国スポーツ医学会(ACSM)は、主要な筋肉・腱グループごとに週2日以上、1種目につき合計60秒間の柔軟性エクササイズを行うことを推奨しています。1

柔軟性を高めることについて23件の研究を分析したレビューでは、1つの筋群につき週に合計5分以上のストレッチを行うことが可動域の向上につながり、週あたりの実施日数が多いほど効果が高まることが示されています。2

また、ストレッチの種類も大切です。77件の研究を対象としたメタ分析によると、静的(スタティック)ストレッチやPNF(収縮・弛緩)ストレッチは、反動をつけるバリスティックストレッチや動的(ダイナミック)ストレッチに比べて、長期的な可動域の向上効果が大きいことがわかっています。3 だからこそ、このルーティンでは主に静的ストレッチを採用しています。それぞれの使い分けについて詳しく知りたいときは、静的ストレッチと動的ストレッチの比較ガイドを読んでみてください。

始める前に

ストレッチが初めての方は、まず初心者向けストレッチガイドから始めてみましょう。

12種類のストレッチ

立ち姿勢からひざ立ち、寝姿勢へと流れるように進むので、姿勢の切り替えがスムーズです。

1. 首の横伸ばし(ネックサイドストレッチ)

伸ばす部位: 僧帽筋上部、首の横側

やり方:

ありがちな間違い: 肩を持ち上げて耳に近づけてしまうこと。両肩を下げたまま、頭を倒すように動かしましょう。

やさしいやり方: 手を頭に乗せず、重力に任せて倒します。 負荷を高めるやり方: 反対側の手を床に向かって伸ばすと、伸び感が強くなります。

2. 体側のストレッチ(サイドベンド)

伸ばす部位: 広背筋、腹斜筋、肋骨の横側

やり方:

ありがちな間違い: 体が前に倒れたり、ねじれたりすること。

やさしいやり方: 片手を腰に置いたまま行います。 負荷を高めるやり方: 伸ばす側の足をもう一方の足の後ろでクロスさせると、お尻の外側までしっかり伸びます。

3. 胸開きストレッチ(チェストオープナー)

伸ばす部位: 胸、肩の前側、上腕二頭筋

やり方:

ありがちな間違い: 高さを出そうとして腰を反らせてしまうこと。あばら骨が前に飛び出さないように抑え、肩から動かしましょう。

やさしいやり方: 手が届かない場合は、タオルやストラップの両端を持って行います。 負荷を高めるやり方: 股関節から前に体を倒し、組んだ腕を頭上の方へ倒していきます。

4. 立位前屈(フォワードフォールド)

伸ばす部位: ハムストリングス、ふくらはぎ、背骨の背面

やり方:

ありがちな間違い: ひざを完全に伸ばしきって、腰を無理に丸めてしまうこと。太ももの裏側に伸びを感じられるよう、ひざは必要なだけ曲げてください。

やさしいやり方: 両手をすねや椅子の座面に置きます。 負荷を高めるやり方: 背筋を長く保ちながら、少しずつひざを伸ばしていきます。

5. 立位太もも前伸ばし(クアッドストレッチ)

伸ばす部位: 大腿四頭筋、股関節の前側

やり方:

ありがちな間違い: 曲げたひざが前に出たり、外側に開いたりすること。

やさしいやり方: 足首に手が届かない場合は、タオルやストラップを足首に引っ掛けます。 負荷を高めるやり方: 曲げた側のお尻をきゅっと引き締めると、股関節の前側がさらに伸びます。

6. ローランジ

伸ばす部位: 股関節屈筋群、大腿四頭筋、体の前面

Lunge
The low lunge stretches the hip flexors that shorten during long hours of sitting

やり方:

ありがちな間違い: 腰を反らせて沈み込んでしまうこと。お腹を軽く引き締め、骨盤を少し後傾させてから前に移動させましょう。

やさしいやり方: 後ろのひざの下に折りたたんだタオルを敷き、両手は前足の太ももに置きます。 負荷を高めるやり方: 前足の側へ上半身を軽く倒すと、体側まで心地よく伸びます。股関節の前面は硬くなりやすい部分ですので、詳しくは股関節の柔軟性ガイドも参考にしてください。

7. キャット&カウ

伸ばす部位: 首から腰までの背骨全体

やり方:

ありがちな間違い: 首と腰だけを動かしてしまうこと。背骨全体を均等にしならせる意識を持ちましょう。

やさしいやり方: 動きの幅を小さくします。 負荷を高めるやり方: 背中を反らした姿勢と丸めた姿勢のそれぞれで、2呼吸キープします。

8. 針の糸通しのポーズ(スレッド・ザ・ニードル)

伸ばす部位: 背中上部、肩の後ろ側、肩甲骨の間

やり方:

ありがちな間違い: お尻が左右にずれてしまうこと。骨盤を正面に保つことで、背中上部がしっかりねじれます。

やさしいやり方: 頭の下にクッションを置きます。 負荷を高めるやり方: 上の腕を頭上の床に沿ってまっすぐ伸ばし、体側を長く伸ばします。

9. ダウンドッグ(下を向いた犬のポーズ)

伸ばす部位: ふくらはぎ、ハムストリングス、肩、背骨の背面

Downward Dog
Downward dog stretches the calves, hamstrings and shoulders in one position

やり方:

ありがちな間違い: 背中が丸まっているのに、無理にかかとを床につけようとすること。ひざを伸ばすことよりも、背筋をまっすぐ伸ばすことが大切です。

やさしいやり方: 椅子の座面に手をついて行います。 負荷を高めるやり方: 片ひざずつ交互に曲げて足踏みし、左右のふくらはぎをじっくり伸ばします。

10. ピジョンのポーズ(鳩のポーズ)

伸ばす部位: お尻(臀筋群)、股関節の深層外旋筋群

やり方:

ありがちな間違い: 前足側のお尻が床に落ちて、反対側の骨盤が浮いてしまうこと。お尻が床につかない場合は、クッションを挟みましょう。

やさしいやり方: 仰向けで行う4の字ストレッチに変えます(仰向けになり、左ひざに右足首を乗せ、左ももを胸に引き寄せます)。 負荷を高めるやり方: 前足のすねをマットの前辺と平行に近づけます。

11. 仰向けの背骨ねじり(スパインツイスト)

伸ばす部位: 腰、お尻、胸、腹斜筋

Spinal Twist
The lying spinal twist releases the lower back and opens the chest at the end of the routine

やり方:

ありがちな間違い: 手でひざを無理やり床へ押し付けること。重力に任せて下ろし、反対側の肩が床から浮かないように保ちましょう。

やさしいやり方: 両ひざを揃えて曲げ、一緒に横へ倒します。 負荷を高めるやり方: 上側の足をまっすぐ伸ばし、反対の手でつま先を持ちます。

12. チャイルドポーズ

伸ばす部位: 腰、股関節、肩の上部

やり方:

ありがちな間違い: 肩に力が入ってしまうこと。腕の力を抜いて床に預け、肩が耳から離れるようにリラックスします。

やさしいやり方: お尻とかかとの間にクッションを挟みます。 負荷を高めるやり方: 両手を斜め前の一方に歩かせ、体側を心地よく伸ばします。

ルーティンの実践プラン

10分バージョン

忙しい日はこちらを行ってみてください。

  1. 体側のストレッチ: 左右各30秒
  2. 胸開きストレッチ: 30秒
  3. 立位前屈: 30秒
  4. ローランジ: 左右各45秒
  5. キャット&カウ: ゆっくり8回
  6. ダウンドッグ: 30秒
  7. ピジョンのポーズ(または仰向けの4の字ストレッチ): 左右各45秒
  8. 仰向けの背骨ねじり: 左右各45秒

タイマー付きでサクッと行いたいときは、Quick Reset Stretchの5分ガイドルーティンもおすすめです。

20分バージョン

12種類のストレッチをすべて順番に行います。それぞれのキープ時間を長めに設定し、股関節が硬いと感じる場合はローランジとピジョンのポーズをもう1セットずつ繰り返しましょう。Total Body Reset Flowでも、立ち姿勢から床へ移る同様の流れで、21種類の動きをタイマー付きでガイドしています。別の日には、Full Body Hold Forgeのようなアイソメトリックトレーニングを組み合わせて、手に入れた可動域をしっかり支える筋力も身につけていきましょう。

いつ行うのがベスト?

いつでも大丈夫です。朝一番に行うときはキープ時間を短めにするか、こちらの朝のストレッチルーティンを取り入れてみてください。運動後は筋肉が温まっているので、長めのキープが心地よく感じられます。詳しくはクールダウンストレッチのガイドをご覧ください。なお、運動前には長時間の静的キープではなく、キャット&カウや腕回しなどの軽快な動きを取り入れるのがおすすめです。

注意が必要な方

以下に当てはまる場合は、無理をせず慎重に行いましょう。

専門家に相談すべきサイン

よくある質問

全身ストレッチルーティンにはどれくらい時間がかかりますか?

10分あれば、全身の主要な筋肉を1回ずつ十分に伸ばせます。20分あれば、キープ時間を長くしたり、硬い部分を2回繰り返したりできます。5分しか取れない日は、ローランジ、ダウンドッグ、仰向けの背骨ねじりのように、1種目で広い範囲をカバーできる動きに絞るのがおすすめです。

毎日全身ストレッチをしても大丈夫ですか?

はい、心地よい伸びを感じる範囲を守り、無理な体勢を取らなければ、健康な大人にとって毎日のストレッチは安全です。週あたりの日数が多いほど柔軟性の向上につながるという研究結果もあります。もし翌日に痛みや違和感がある場合は、強度を落とすか、その部位のストレッチを1日お休みしましょう。

ストレッチは運動の前と後、どちらにするべきですか?

運動の前には、キャット&カウや足振り、腕回しなどのリズミカルでアクティブな動きを行いましょう。長時間の静的キープは、運動の後や別の時間帯に行うのがベストです。温まった筋肉のほうがじっくり伸ばしやすいですし、パワーが必要な運動の直前に筋肉が緩みすぎるのを防ぐことができます。

どれくらいで効果があらわれますか?

ストレッチ直後は多くの人が体の軽さを感じますが、その効果は数時間で落ち着きます。持続的な柔軟性の変化を実感するには、週2〜3回以上の定期的なストレッチを4〜8週間続けるのが一般的です。前屈で手がどこまで届くかなど、簡単な目安をチェックしておくと変化を実感しやすいですよ。

References


  1. Garber CE, Blissmer B, Deschenes MR, et al. (2011). American College of Sports Medicine position stand. Quantity and quality of exercise for developing and maintaining cardiorespiratory, musculoskeletal, and neuromotor fitness in apparently healthy adults: guidance for prescribing exercise. Medicine and Science in Sports and Exercise, 43(7), 1334-1359. PubMed ↩︎

  2. Thomas E, Bianco A, Paoli A, Palma A. (2018). The Relation Between Stretching Typology and Stretching Duration: The Effects on Range of Motion. International Journal of Sports Medicine, 39(4), 243-254. PubMed ↩︎

  3. Konrad A, Alizadeh S, Daneshjoo A, et al. (2024). Chronic effects of stretching on range of motion with consideration of potential moderating variables: A systematic review with meta-analysis. Journal of Sport and Health Science, 13(2), 186-194. PubMed ↩︎

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